今後の業務改革は…?

大森:RPA化したいという要望は現場からもまだまだ届いているのでしょうか?
安西:今後自動化したい業務、今ものすごいリスト化されてまして、経理系、製造系等の業務がまだ大量にRPA化の候補として残っています。
そこで一つポイントになるのが「紙」ですよね。例えば伝票。
紙をそのままロボットに、というわけにもいかないので、AIOCR(※)が間に入るんですが、それを搭載した紙業務の効率化が一つ大きな目玉になるのかな、と思っています。
それと同時に紙である文化として「物流系」いわゆる荷物の伝票ですとか、その辺の業務効率化もRPAで一気に改善するんだろうなあという風に考えています。
※AIOCRとは、人工知能技術を取り入れた、 手書きや印字を読み取りデジタル化する技術 のことです。

大森:大きく分けると、どんな業務がRPA化されそうでしょうか?
安西:本社系業務としては経理の部分が一番大きな効率化が望めるのとあとは工場業務ですね。
サッポロビールは全国各地に工場があります。
工場の中の色々な事務は工場独自の方法で且つ、アナログチックにやっていることも多いものですから、この辺も今、RPAによって改善していく、ということを考えています。
経理系の業務と物流含めた工場系の業務がRPAの業務の中では大きなポイントになるかなと。
他には本社の中でいうと資材系の業務に代表される発注等のルーチン業務もRPA化することを考えています。
河本:やっぱり大きく改善の余地がある紙系の処理だと思っています。
経理系の請求書などは効果も高いですし、今のコロナの影響下では勤務体系の見直
しもかかっている状態なので、優先順位はすごく高いと感じています。
安西:最近はOCRが飛躍的に進化していると思っているんですよね。
ちょっと前まであまり読み取れない思ってたんですけど、AI搭載したものはかなりの精度と見受けています。
これからさらに精度が上がってくると、紙のものをデジタル化することが容易になり、自動化の幅も相当広がる、と推定しています。
大森:次に自動化したい業務については、現場から声が上がってくることも多いのでしょうか?
安西:本社の製造も一部入ってますが、例えば各工場から現場でRPA化できそうな業務を聞くと、現状で155件出てきているんです。
大森:155件の業務がRPA化できそう、というのは期待が高まりますですね。
安西:そうした要望を業務ごとに分けてRPA化に適しているかをある程度絞り、ピックアップして進めていくこともあります。
一方で、我々がビジネスプロセスの見直しをする中で「この業務はRPAでかなり効率化できるよね」と教えてあげることで気づく、ということもあります。


大森:現場からのヒアリングを定期的にされているのでしょうか?
安西:そうですね。今回のBPR活動で本社、内勤部門、工場に関しては、徹底的なヒアリングを実施しました。
今後は、営業(外勤者)にもヒアリングする予定はあります。
河本:営業へのヒアリングについてはあまり幅広くやると収集するのが大変になってしまうので、首都圏の営業のキーマン何名かにヒアリングするなどし、ある程度本社で課題勘を掴んだ上で仮説を作り、現場に落とし込んでいく、というやり方を想定しています。
大森:ヒアリングについてはどのように行っているのでしょうか?
安西:RPAの可能性のある業務を上げてもらうためのヒアリングでは、まずはできることとのイメージがわかないので、その前に工場では10回くらいに分けて説明会(少人数で質問ができる環境の説明会)を行ってRPAってどういうものかを理解してもらってから、ヒアリングしていました。
理解してもらうまでに手間と時間はかかるのですが、「会社全体でRPA化できそうなもの出してみて」というとやはり的外れなものが集まってしまい、それを捌くのに手間が掛かってしまうと予想しています。