株式会社アンタスのソリューション

今まで「個人に依存しない作業」や「反復作業」を中心に勢力を拡大していたRPAが、ついに……!?
ということで、今回は株式会社アンタス様(以下、敬称略)の「専門職に特化したRPA」をお届けします!
繰り返しかつ、途中で人の判断が入る業務も自動化したソリューションについて、株式会社アンタスの瀬野さん、村田さんにお話をお伺いしました!

ソリューション概要

専門職の業務は自動化しにくい?

建築・土木業界で行われる業務に対して、AI(=判断の自動化)×RPA(=手作業の自動化)で業務効率化を実現させているのが今回のソリューションの特徴です!

例えば、道路脇の建物が崩れないよう支える役目を果たす擁壁(※)を設置する場合、会社は国に対して設計したモデルの強度を証明しなければなりません。
検討の際は設計計算ソフトによって想定しうる様々な状況で強度の証明を行うのですが……初期検討後、再び必要な情報を入力して計算を行うなど、途中に人の判断が必要な為、通常のRPA技術では自動化しにくいのです。
たしかにRPAは繰り返し作業が得意ですが、求めている情報になっているかの判断には向きません……。

これを解決したのがAI×RPA
一部の判断をAIが、繰り返し作業をRPAが行うことでより高度な自動化が可能になったわけですね!

最後に書類データに起こすこれらの作業は今まで、Windows上で専用の設計ソフトを使用し、専門的な知識や時間を使って作業が行われていました。
担当者の経験年数の違いなどが原因で作業時間が長引くことは、業界的にも課題となっていたのだとか。

今回のソリューションでは、もともと3日掛かっていた作業時間をなんと1時間に短縮!
熟練者がより高度な作業へ時間をさけるようになりました。

:擁壁(ようへき)とは、道路や橋など、構造物周辺に設置されているコンクリートの壁。崖や建物の崩壊を止める構造物のこと。
参考URL:ニフテイ不動産 | 擁壁(ようへき)とは?種類・トラブル回避・擁壁工事費用を解説

向いている業務は?

ソリューションの魅力は「×AI」!

RPAは通常、例えば拾った情報をExcelの定められた場所に入力するなどの作業がメインです。前述の通り、判断を要する作業は向きません。

しかし! そこにAIを取り入れることで一部判断を含む業務の自動化が可能に
それが他とは異なるアンタスのソリューションの特徴で、魅力なのです!

土木・建設業界に携わった経験があるエンジニアがアンタスにいたからこそ、人が繰り返し判断する業務が属人化の温床である、という課題への理解が素早くできました。
さらにはもともとAIの開発をしていたアンタスだからこそ、適切にAIとRPAを掛け合わせてソリューションを実現していくことが可能だったのです!

シナリオ確認の時間ゼロへ! レイアウト変更にも対応!

ボタンやコントロールの種類が変わるなどを含む多少のレイアウト変更には再調整の必要がないことも、アンタスのソリューションの特徴です。
既存のソフト(CADなど)を外部から操作する技術でこれを可能にしており、入力する項目を直接操作できるので、ある程度画面のレイアウトや解像度が変わっても対応可能なのです!

また、その技術はレイアウト変更に対応できる以外にも影響しており、シナリオ作成後、通常はif文などで分岐が増えていくとその確認作業に時間がかかるのに対し、アンタスのソリューションでは直接情報にアクセスするために正しく値が反映されているかを確認する必要がない為、動作時間が通常のRPAツールに比べて高速だそう。
魅力の多い技術でソリューションが形作られているのですね!

弱点は「専門性が高い」こと!?

こんなに良いことづくめだと、パーフェクトなソリューションにも見えますが、村田さん曰く、1つの弱みがあるそうで……。
それは「誰でもすぐ導入できるわけではない」こと。
アンタスのソリューションはUiPathのようにダウンロードしたらすぐ使えるわけではなく、また、企業様ごとにカスタマイズする必要があるんです!
またAIの学習の為に受注先の企業にデータをもらって学習をさせる必要があり、情報を個別に企業様からいただいている以上、他企業で使い回しはできません

RPA自体は作成に期間3〜4ヶ月、AIは費用対効果を考えて、どのくらい学習させ賢くしていくのかを企業様ごとに決定するそうで、まさにオーダーメイドのような仕組みなんですね。だからこそ、ぴったりの自動化を提案できるとも言えます!

ソリューション比較:RPA MEDIA※比較図作成:RPA MEDIA

開発背景に従来RPAの課題あり

作業の一部に判断が入る! 専門職の悩み

従来のRPAは繰り返し作業や時間通りの単純作業が得意で、逆に考える・判断するなどの作業は苦手とされてきました。手順が定まらない作業や、急な作業も苦手。
便利なRPAですが、作業の一部で人の判断が必要な場合に解決策に悩むことも多く、それらの課題解決の為、アンタスはソリューションの開発に乗り出しました!

開発は他のRPAツールを調べながら、結果としてアンタス独自のRPAエンジンを開発。
RPAを開発するにあたり技術的な部分は壁になったそうですが、「もともとシステム開発が得意な会社なので、自社で考えた方が速い」と判断したそう。社員の中にAIの前提知識があったことも大きかったとか!

そこで5大RPAとの差別化が測れ、if文では対応しきれないほど分岐の多い作業やレイアウトに変更にも対応できるソリューションが開発されました!

業務の見える化を行った際、
・人の判断が必要な場面ですぐにRPAをAIと掛け合わせるなどの発想に至ったこと
・どこでAIを使うと効果的か、的確に合う合わないを判断して課題解決に取り組むことができたこと
が、他とは違うソリューション開発に至った要因だったのです!

ソリューション開発を支えるのは素敵なおじ様!?

村田さん曰く、開発に関わったのは素敵なおじ様が多かったのだとか!
おじ様好きな筆者としては思わず前のめりになってしまいましたが(笑)、開発の際に関わったお客様含め全員が共通して建築・土木業界の知識を持つベテランの方で構成されていた為に、細かい作業にも理解があり、共通して課題を認識できていて「どこが自動化に向いているか」「どこを自動化したいか」など、課題の抽出もスムーズだったというのです!

外注を行うことの多いRPA導入において、あるあるネタが共有できているのは1歩目から大きな強みになりそうですね! 仕事のできるおじ様!素敵!!

発表時期は建築・土木業界が年度末の繁忙期に入る前の12月。
国や自治体がエンドユーザーとなる土木・建築業界では年末よりは年度末の3月が繁忙期となるそうで、リリースと発表時期からも業界関係者への配慮が伺えますね!

業務自動化のこれから

業務自動化、要(かなめ)は社員の意欲!

建築・土木業界に特化しているのはもちろんのこと、人事部、総務部といった括りでなく、業務効率化や自動化を推進している方や部署からの問い合わせが多いそう。システム部や、社長自らが問い合わせてくる場合もあるのだとか……!!
建築・土木業界では効率化・自動化をしたい会社は、「導入経験あり」または「ほぼわからない」の二極化しており、RPAやAIという用語も通じない場合もあるそうで、その場合は1から丁寧に説明していき、導入の相談を重ねていくといいます。

導入経験がある場合は、業界的に自動化したい作業のシナリオ数が多く費用対効果が悪かったり、人の判断が入ると作れないなどの問題を抱えていることもしばしば。
やはりというか当然かもしれませんが、現場側が自動化を推進したいと強く望んでいると導入も進みやすいのだそうで、推進する側としては業務自動化・効率化を進めたい意図をどこまで会社と社員全体に落とし込めるかが課題になりますね!

ソリューションの未来は?!

人の判断が途中ではいる業務は、前提として開発側にも業界の知識がないとなかなか発見するのが難しいといいます。
今回ご紹介したソリューションは、瀬野さんを始め、関わった方それぞれに建築・土木業界の知識があった為に開発に至りました。

現状は建築・土木業界に特化したソリューションとなっていますが、一部に人の判断が必要な繰り返し業務に心当たりがあり、「自動化したい」と考えていらっしゃる他業界の方のご相談をお待ちしています、とのことでした!

後々、AIOCRも絡めていければともお聞きしましたので、筆者的には今後も目が離せません!

最後に、株式会社アンタスの瀬野さん、村田さん、今回の取材を快くお引き受けいただき、誠にありがとうございました!