ルールづくりも!RPA技術者とBPR推進に求められるもの

大森:RPA技術者に望むことは何でしょうか?
安西:ここすごく難しくてですね。RPAにはいろんなお作法があるじゃないですか。
Automation Anywhereである業務のRPA作るときには、開発者が3人いれば三者三様の作り方があるんですよね。
ただ、このパターンの時はこういうルールにしましょう、という、ルール作りができる人間が、開発担当者にならなくてはならない。
改革推進部の中には今、1人メイン開発者がいて、コンサルタントと一緒にルールづくりをきちんとしてもらっています。
そうしないと「我流の」ロボットだらけになってしまうので、それは一番気をつけなければならないところですね。
RPAのチーフエンジニア(開発者)は自分一人が作れるのではなく、その ルールを作れるくらい実力 のある人間でないと、適さないのかな、という風にも思います。
RPAで作れるものは無限大ではありませんが、考え方によっては色々な業務に適応できます。その意味では、前向きな思想の高いIT技術者が適している、という風に思っているので、そういった考え方を持って携わって欲しいです。
大森:今後のRPAや業務改革については、いかがでしょう。
安西:RPAの将来がどうなるのか、にはいろんな見方があると思います。
というのは、会社によって、開発も保守も全部やるのか、それとも外部のサービスを利用するのか。
会社の考え方によって別れそうなので、我々もどこまでを自社で、逆にアウトソースをどこまでするのか、今年中には決めて行かなければ、と考えています。

RPAの導入を考えている方へ


大森:他の企業の方へもお伝えするとしたら、RPA導入の際のポイントはどんなところでしょうか?
安西さん:我々の中でいつもいっているのは、RPAだけ、から入ると非常に効果が薄いということです。
RPAを入れましょう、というプロジェクトを立てて、RPAに適する業務を会社の中で探していくとなると、多分、費用対効果は全く合わない。
プロジェクトとしては失敗になる可能性が高いと思っています。(部分的な小さな改善で終わるので)そういう意味では、課題となる業務の前後含めたビジネスプロセスをきちんとしっかり見直すことが大切です。
大森:「業務改革」本来の目的を見失わない、という事でしょうか。
安西:「その業務やめてもいいんじゃないの?」という視点で、業務を簡素化・集約化・標準化していき、やらざるを得ない業務の中から、RPA化できるかできないかを最終的に判断する。
たしかに業種によります。事務作業が多く、明らかな課題であるならば、そこはRPA導入を最優先という選択もあると思うのですが、一般的に我々のようなメーカーにおいては、前述のようなプロセスをたどってRPAを導入しないとうまく行かない、と考えています。 経営の期待を裏切らない ためにも、ビジネスプロセスを見直して、大きな効果を生むのをセットで考えなければならないと思います。
そこが一番注意する点だと思います。
大森:すでに業務改革推進を行なっているサッポロビール様から、これからRPA導
入を考えている企業様に伝えたいことはありますか?
安西:今回のRPA、BPRについては、働き方改革にも連携しているんですね。
今まさに働き方改革やコロナの環境の中で、色々叫ばれています。
日常の業務を見直さなければならない中で、働き方改革自体が制度は導入するけど
も、なかなか浸透しない、ということもあると思います。
その理由は、業務プロセスが変わっていないから、ではないでしょうか?
プロセスを簡素化しないで、例えばスーパーフレックス、テレワーク等を導入しても、労働者の環境は変わりにくい。
業務効率化して利益に繋げる、社員に働き方改革の実感をちゃんと持ってもらう。
この2点がポイントだという事は、RPAを導入する際に目的がブレない為にも抑えていただければと思います。
「RPA導入」のテーマで取材に挑んだ筆者でしたが、「業務改革」という大切なキーワードについてじっくりお話を聞いてしまいました……!
手段としてのRPA導入ですから、業務改革という目的を見失わないように付き合っていきたいですね!!

安西さん、河本さん、ありがとうございました!

参考:サッポロビール
給与計算業務「88%削減」に成功!サッポロHD人事部の劇的ビフォーアフター