日本は現在、人口減少や労働力不足、高齢化社会などの社会課題に直面しており、業務自動化の重要性が増しています。
今でこそ業務自動化と言えば代表的なのがRPAですが、2016年が「RPA元年」と呼ばれ、その後一躍ブームとなりました。
そんな中2004年からいち早く業務自動化に着目し、RPAツールの販売を開始していた先駆者、ユーザックシステム株式会社。
なぜ当時から業務自動化に取り組んでいたのでしょうか。また代表的RPAツール『Autoジョブ名人』『Autoメール名人』の魅力や、今後の展望とは。
今回はユーザックシステム株式会社 代表取締役社長 小ノ島尚博氏に取材させていただきました。
目次
RPA事業に取り組むことになった背景はなんですか?
当社は2004年に、今でいうRPAと呼ばれるソフトウェアを発売開始しました。
なぜそんなに早くにコンピュータ操作を自動化するソフトを開発したかと言うと、当初から当社は受発注業務のパッケージソフトを提供しており、特に小売業や量販店などがEDI(電子データ交換)によって注文情報をやり取りするためのソフト『EOS名人』を提供していたからです。これはコンピュータとソフトウェアを使用して自動的にデータ交換を行うものでした。
インターネットの普及に伴い受注データのやり取りがWeb環境でも行われるようになると、操作が複雑化し、ミスや漏れが発生しやすくなりました。そうすると、お客様から「『EOS名人』と同じように自動化できないか」という要望が寄せられました。
そこで、当社は2004年に人が手動で行っていたブラウザ操作を自動化するソフトウェアを提供しました。
基幹業務に近い、EDIの延長線上にある実務業務を自動化するという目的でスタートしたのが背景です。
今のように業務の自動化が認知されていなかった当時、世間の反応はどうでしたか?
企業内で業務負担が増え、一部の業種では休みの日も仕事をしなければならない状況が広がり、業務の自動化が注目されていました。
このような背景の中で、当社のソリューションが見つかり、業務の自動化が可能であれば試してみたいという声が高まりました。
その当時、当社以外には同様のソフトウェアを提供している企業がなく、特に受注業務の自動化であるWeb EDIのニーズに適していたため、お客様から大変好評を得ました。
代表的ツールである『Autoジョブ名人』『Autoメール名人』の魅力はなんですか?
『Autoジョブ名人』の魅力は、安定性、導入のしやすさ、運用面での利便性の3点です。
『Autoジョブ名人』は、受注データの自動化など基幹業務を確実に自動化する必要性から開発されました。ですので、エラーや停止などの問題が起きることを避け、安定した運用が重要であると当初から認識していました。
操作手順を指示するような設定方法であれば、一般の人々も開発しやすいです。しかしブラウザ上のデザイン変更や解像度の違いによる問題が起こりえます。
それを避けるため、内部情報を利用し、タグといわれる要素を用いて自動化を行っています。これにより、安定して動作することが可能であり、他と比較してもご評価いただくポイントです。
さらに、製品の導入のしやすさも重視しています。価格体系は中小企業や大企業の部門単位にも適しており、またお客様自身が業務自動化を行う際の操作性も考慮しています。この二つの観点から、導入プロセスがスムーズに行えます。
最後に、運用面での利便性も特徴としています。自動化された業務のスケジューリングや、エラーが発生した際に管理者にメール通知する機能など、運用において便利な機能が組み込まれています。
『Autoメール名人』は、主にメールを利用した業務の自動化に特化しています。特に受信したメールの特定や添付ファイルの抽出などは、通常のRPAの画面操作では安定性の面で難しい業務です。
しかし『Autoメール名人』は、内蔵されたメーラー機能により、取引先からのメールを受け取り、件名やアドレスなどを基に自動処理、そしてファイル操作するといった業務に特化しています。これにより、確実で安定した動作が可能です。
メールの送受信だけでなく、ファイルを開いてそのデータを基幹システムや他のシステムに入力する際にも、データのレイアウト変換が必要です。この作業にはデータのマッピングツールが組み込まれており、これは以前から提供している『EOS名人』の機能を引き継いでいます。
そのため、メールで受け取るファイルには『Autoメール名人』を、ファイルで受け取る場合には『EOS名人』を使うという形で提供されており、受信受注業務に欠かせないツールとして位置づけられています。
お客様の業務特性に合わせて柔軟な提案が可能であり、他にはない特徴だと思います。
『名人+(Plus)』といったユーザーコミュニティサイトを展開するなど、RPA事業の更なる発展への期待を感じました。今後の展開について計画や方針はありますか?
『名人+(Plus)』は、お客様同士での運用情報交換や、経験・アドバイスを共有し、問題解決に役立てるために作ったコミュニティーサイトです。当社だけに問い合わせるよりも、同じ製品を使うお客様同士が情報を共有することで、多くのアドバイスが得られると考えています。
RPA研究会といった活動を数年前から行っていましたが、遠方からの参加が難しいことやコロナの影響もあり、オンラインコミュニケーションの場として機能するように作られました。
今後もこのようなコミュニケーションの場を拡充していきたいと考えています。
また、RPAの導入数が増えるにつれて、複数のRPAを一元管理したい、どの処理がうまくいっているか、どの処理がエラーになりやすいかといった情報を一元管理したいというニーズも増加しています。
このような要望に応えるため、当社はデスクトップ型のRPAですが、クラウド上で情報を一元管理するサービスを比較的安価に提供しはじめています。
お客様に対する管理サービスを、今後の大きなサービスとして展開していく予定です。
最後に、会社としての今後の展望をお伺いできますでしょうか?また、小ノ島社長の基本姿勢「不易流行」にはどのような思いが込められているのでしょうか?
「不易流行」とは、昔から変わらないものを大切にすることと、常に新しい要素を取り入れるという考え方です。経営理念など大切なものは変えずに社風を保持しつつ、新しい制度や技術、価値観の多様性を受け入れていくことが大切です。
この考え方は何事においても重要だと考えており、会社を経営する上でこの言葉を大事にしています。
また社内でのコミュニケーションも重視しており、「ヤングボード制度」「ジュニアボード制度」といった制度で、会社の経営陣以外でも会社のことを考える場を設けています。
従業員が不満を持ったまま仕事をしても成果が出にくいため、従業員が自ら集まって新しい制度を提案し、働きやすさの向上を目指しています。
例えば、テレワークを推進して働きやすさを向上させる、有給休暇をより柔軟に取得できるようにするなど、従業員の提案によってこれまでになかった新しい制度が創り出されました。
これにより、若い世代の従業員のアイデアを活用し、働きやすい環境を創造することを目指しています。
他にも「缶詰パーティー」というイベントでは、会議室で缶詰などをつまみにお酒を飲みながら従業員と集まってコミュニケーションをとっています。
せっかく長い間同じところで働いているので、お互いに気持ちよく働きたいですよね。お互いを理解することで、仕事上の信頼関係や、相談しやすい環境が生まれると思います。
こういった風通しの良い環境で、新しいアイデアで商品開発を行い、それを提供することでお客様に喜んでいただける会社でありたいと考えています。
単に与えられた仕事をこなすだけでなく、自分がどのようにしてお客様を喜ばせられるかの発想を持ち、新しいものが次々に生み出されるような、わくわくする会社をより一層目指していきます。
ユーザックシステムは、2004年から業務自動化に取り組み、RPAツール『Autoジョブ名人』『Autoメール名人』の提供で成功を収めてきました。現在RPAツール全体の販売実績は1300社を超えます。 この数字に対し、小ノ島社長は「2004年から積み上げてきた歴史があった上での数字であり、それだけお客様にご評価いただいている証の一つだと思います。」と仰っていたのが印象的でした。 歴史のある安心感と、ツールの特徴である安定性・導入のしやすさ・運用利便性が、長く愛されている秘訣なのかもしれません。 今後は『名人+(Plus)』といったコミュニティの拡充や、クラウド管理サービスの提供によるRPA事業の更なる発展が期待されます。
また今回の取材を通して、小ノ島社長は全従業員と垣根なくコミュニケーションをとることを重視しており、従業員の意見に耳を傾けアイデアを柔軟に取り入れている印象を受けました。 「不易流行」の精神に基づく姿勢で、顧客満足と革新を追求し続けるユーザックシステムに今後も注目です! |
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