RPAガバナンス

働き方改革など、現在、色々な理由で注目を集めているRPA。
皆さんの職場でも導入が進んでいるかもしれない。
しかし、実際にRPAに関わった事がある人はまだ少ないのではないだろうか?
筆者も、RPAツールに触れたことはないし、導入はされているらしいが、その恩恵を受けている実感もない。
今回は、私たちが知らない間に着実に導入が進んでいるRPAと、ガバナンスについてお届けしていく。

■RPAガバナンスとは何か?

ホワイトカラー

RPAガバナンスとは何かを知るためには、そもそもRPAとは何か?ガバナンスとは何か?
この2つがわかっている必要がある。

RPA(robotic process automation)とは、簡単に言うと、事務作業効率化の便利ツールである。
毎日パソコンで行う定型の作業をリスト化し、RPAに記憶させることで、作業効率化を実現できる。
具体的なメリットは、

・入力ミスが減らせる。
・人よりも作業速度が早い。
・煩雑な事務作業から人員を解放できる。

こういったことから、各企業での導入が推し進められている。
RPAについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にして頂きたい。

ガバナンス(governance)とは、統治といった意味合いで使用される。
コーポレートガバナンス、ITガバナンスといったように、企業で働いている人は耳にする機会も多いだろう。
参加者全員の意思決定に基づいて形成される共通ルールと言える。

つまりRPAガバナンスとは、”RPAを使用する者の為の共通ルール”ということになる。

■RPAガバナンスを設けないとどうなるか?

RPAガバナンスを設けないとどうなるか

ルールがなければ、それは無法地帯である。
幸いにも、筆者は無法地帯を見たことがないが、悲惨な現場であることは想像できる。
RPAガバナンスがないと、業務効率化の為に導入したのに成果が上がらないどころか、かえって手間が増えることになるようだ。

RPAの導入までの流れを簡単に説明していくと、

①この業務に導入するぞ!と思う。
②導入する業務の一連の作業を洗い出す。
③RPAツールに作業を覚えさせる。
④実際動くかテストする。
⑤本番稼働

といった流れになっていく。
一見するとそんなに難しくなさそうに見えるが、しっかりとガバナンスを設けなければ、次のような事態に陥るかもしれない。

①RPAを取り敢えず導入した。

RPAは決して万能ツールではない。
RPAにも得意・不得意がある。
そのことをしっかり検討せず、RPAが不得意とする業務をやらせた場合、作業の効率化は見込めず、逆に悪化することも考えられる。
導入の前には、”どの業務に導入するか、導入に適している業務なのか”をしっかり考える必要がある。

②業務の流れを統一しないまま導入した。

RPAが得意とする作業は、決まった流れ・手順が存在するものだ。
導入する業務を、一人で請け負っている場合はあまり問題ではないが、複数いる場合は人によって作業手順が異なってくる。
例えば、1→2→3→4→5の手順で行われる作業があるとする。
今回は2、3の行程でRPAを導入したとする。
全員がこの手順で行っていれば問題がないが、1→4→3→2→5の手順で行っている人の場合、RPAの導入で作業手順が変わってしまう。
人によっては作業効率が、かえって落ちてしまうかもしれない。
作業者全員から作業手順の確認を十分に行った上で導入をしなければ、想定していなかった部分で失敗につながってしまう。

③業務の流れを理解しないまま取り敢えず作った

業務の流れを統一・理解をしたうえで、RPAを組めば問題はない。
しかし、取り敢えずゴールに向けてRPAを組むと、余計な手順が確実に入ってくる。
人手を割かずに業務ができるようになったものの、人と同じ処理スピードだったらどうだろうか?効果は実感しにくいだろう。
RPAは間違った手順、不要な手順であろうと忠実にこなしてくれる。
AIとは異なり自分で作業の最適化はできない。
人が手を加えない限り余計な手順のまま作業し続けてしまう。
RPAを組む際は手順をしっかり精査した上で組む必要がある。

④十分に検証しなかった

どの業務においても言えることだが、実際に稼働させてみて不具合が起きないか確認する必要がある。
RPAを導入するだけして、検証が不十分だったために余計な作業が増えては本末転倒だ。
不具合が起きないか、不具合が発生した場合の対処方法など、しっかりと検証する必要がある。

このように、導入を行う前に全体でしっかりとしたガバナンスを設けないと効果が得られず、期待はずれな結果を招いてしまう。
導入をお考えの方は、このほかにも失敗事例があるので、こちらの記事も参考にしていただきながら検討していただけたらと思う。

■終わりに

Success

「便利!」「ITの知識がなくても使える!」と、もてはやされているRPAも、しっかりと理解し、検討をしたうえでの導入でなければ効果が得られない。
筆者のように、”新しい物好き”、”やってみたがり”な好奇心旺盛な人ほど注意が必要だ。
挙句、筆者は怠惰でもあるので”ラクができる!!!”ということに弱い。
RPAの導入を失敗しないためにもきちんと検討し、計画を立てて、周りの人と相談しながらRPAガバナンスを制定して、行っていこう。

[執筆:リバティ
[最終更新日:2020年3月27日]