RPAとAIの違い

働き手の不足が騒がれている昨今の日本。
業務効率化は働き方改革とともに押し寄せて、貴方の身近にも迫ってきていることだろう。
会社内でも「RPAの導入を進めましょう!」と、言う声を聞いているかもしれない。
しかし、RPAとは何か?という疑問を持ったままの方も多いことだろう。
同じく会社の中に入り込んできているAIとの違いは何か?という疑問も浮かんでくる。
この記事では、RPAとは何か?AIとRPAの違いは何か?この2点を主に記していきたい。

◆RPAとは何か?

RPAとは

RPAとは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、ルールエンジンやAI(人工知能)などの技術を備えたソフトウェアのロボットが代行・自動化する概念、と定義されています。
引用:NTT DATA

業務特化型AIで、わかりやすく言うと、決まった作業内容をロボット(ソフトウェア)に覚えさせ、ボタン一つで代行させるものである。
ExcelやAccessに少し詳しい人ならば、マクロやVBAに近いものだと言えばイメージしやすいかもしれない。
厳密には違うものなので、こちらの記事を参考にその違いを確認してほしい。

RPAとは、1つの業務に特化したAIだと思ってもらえればいいと思う。

◆AIとは何か?

AIとは

AIとは「Artificial Intelligence/アーティフィカル・インテリジェンス」の略語。人工知能とも呼ばれる。
決まった定義はまだ確立されていないが、概ね”自分で考えて能動的に動くシステム”というところに落ち着いていく。

AIにも区分が存在し、特化型AI、汎用型AIに大別されている。
特化型AIは、先に挙げたRPAのように一つの業務や事柄に特化した情報処理を行う。
汎用型AIは、文字通り何でも行う。現在、研究開発が進められているのは、この汎用型AIである。

また、処理が可能な範囲によってレベルわけもされている。

レベル1

少ないルールに従って、一つの動作をするプログラムを備えたもの。
エアコンの自動調整機能などが該当する。

レベル2

複数のルールに従って複数の動作をするプログラムを備えたもの。
対戦ゲームのCPUやお掃除ロボットなどが該当する。

レベル3

人が大量のデータを与えることで自己学習を行い、複数の動作を行うプログラムを備えたもの。
検索エンジン、チャットボット等が該当する。

レベル4

機械自体が情報収集、学習を行い複数の動作を行う。
自動制御の自動車や、人に負けない将棋ロボットが該当する。

レベル5

人と遜色ないふるまいをするもの。
イメージはドラえもんとC-3PO。

AIのレベル毎にできること

現在、研究開発が進められているのはレベル4の部分で、これがAIと言われているものである。因みに、RPAは自己学習ができないので、このレベル分けではレベル2に該当するといえるだろう。

◆RPAとAIの違いはこれだ

AIとRPAの違い

RPAとAIについてざっくりと解説をしてきたが、人の代わりに業務を行っていくというところではどちらも同じである。この二つの違いは何か。
先の、AIとは何か?の章で殆ど答えが出ているが、具体的な違いは「自己学習ができるかどうか」である。

RPAは人が教えたとおりにしか作業ができない。
その為、教える際に余計な手順を入れて覚えさせた場合、その通りに動いてしまう。
直す際は人が直してやらなければならない。

対して、AIはこちらが余計な手順を入れて教えてしまっても、AI自身が学習していく中で、余計な手順だと判断して省いてくれる。
また、効率的な方法を見つければそちらを採用し、より効率的に業務を遂行してくれる。
更に、AIはRPAへの指示ができる。
RPAはあくまでも道具であるのに対して、AIは人のように振舞うことができる。

大きな違いは、”道具”か、”人のようなもの”ということになる。

◆AIではなくRPAが注目されている理由

RPAが注目されている理由

RPAとAIの違いを知ったうえでなぜ、「RPAを導入しましょう!」となるのか?
AIの方が優秀なのだからAIを導入した方がいいではないかとなる。
RPAとAIではコストの面でも大きな違いがある。
身もふたもない回答だが、導入コストが答えになる。
AIの本格導入には、外注すると200万円程度かかると言われている。
自分でAIを開発するには開発言語を勉強して…と、今度は膨大な時間がかかってしまう。
まだまだ、分厚い壁に阻まれているので手が出しづらいのが現状だ。

しかし、RPAは利用するソフトや利用範囲によっては無料で入手が可能であること、ITに関する深い知識がなくても何とかなるらしい!ということで、多くの企業に注目されている。
RPAの実際のところについては、当社でも実際にRPA導入に挑戦した社員の奮闘記があるので、ぜひ読んでみてほしい。



◆終わりに

終わりに

政府が進める働き方改革と、今後も深刻となっていく労働者不足によって、急速に広まっているRPAの活用。
導入コストが低く、IT関連に強くなくても扱いやすいことから、今後も多くの企業で活躍していくことが予想される。
多数の人が係わって行われていた業務が、パソコン1台で出来るようになっていく。
業務時間の短縮につながったり、人的ミスが防げたりと、メリットの大きいツールだ。
しかし、導入に当たってはきちんと検討をしないと、予期せぬ失敗に見舞われることもあるようだ。

導入の際はしっかりとAIとRPAの違い、そしてVBAとの違いを検討して、業務の効率化につなげていただけたらと思う。

[執筆:リバティ
[最終更新日:2020年2月28日]