ひと昔前はSF映画の世界にだけ存在した人工知能(AI)が私たちの日常にすっかり溶け込み、「ビッグデータ」という言葉も当たり前のように見聞きする時代になりました。
そんなニュースやネットで度々耳にする「ビッグデータ」ですが、実際にどういったものに活用されているのでしょうか。

飲食業界におけるビッグデータの活用例

 2002年、回転寿司最大手のスシローは、「回転すし総合管理システム」を導入致しました。
このシステムがお客様のニーズ(需要)予測から供給指示、寿司の品質管理までのあらゆる業務を支援しているのです。

株式会社あきんどスシロー|TOP|回転寿司
https://www.akindo-sushiro.co.jp/

どのように需要を予測しているのか

 スシローは、競合他社と同様に「特急レーン」へ注力するよりも、常に寿司がレーンを流れている状態を作ることに力をいれています。
その理由は何故なのか。
レーンを流れる寿司を見て、気に入ったネタを手に取る喜びをお客様に味わってもらいたいからです。
その為に取った方法が下記、

  • お客様のニーズを的確に読み
  • 好みのネタを適正数だけ作るため
  • 皿にチップを取り付けて
  • 単品ごとに管理する

以上の情報からリアルタイムで把握した売れ筋情報を需要予測に活かす、世界で初めての商品単品管理システムなのです。

 実際にイートインでも年間10億件ほどのデータを集約しており、そのビッグデータをもとに1分後と15分後の出食予測をリアルタイムで厨房上部のディスプレーに表示し、レーンに流すネタと数を判断しているとの事。
需要予測の精度もどんどん高まり、システムを導入しなかったケースと比較して廃棄食材を4分の1ほどに削減することができたのです。

日本経済新聞「スシロー、ビッグデータ分析し寿司流す 廃棄量75%減」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK24009_U4A120C1000000/

店長の勘と経験にIT(情報技術)の力を加味し、食べたい握り寿司をタイムリーに提供する。システムの導入で、回転して時間が経った皿が減り、廃棄量は4分の1ほどになった。

経験と技術の融合は業界を救うか

 上記のみに関わらず、今まで飲食店のような業態では客数や売り上げの予測は店長の経験に左右される部分が大きかったのですが、現場とIT技術を融合することで、経験の浅い店長でもベテランの店長に負けない店舗運営を行うことが可能となりました。

 常に人材不足が叫ばれ、労働環境の整備が最大の課題とされる飲食業界。
数値予測などの業務はITに委ね、店長はお客様や従業員の満足向上のために注力した取り組みをすることで、皆が幸せになる社会を実現することができるのではないでしょうか。
IT技術に期待される役割は、今後さらに広がっていくことでしょう。

ビッグデータの活用で変わる わたしたちの未来 Part.2 はこちら
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[執筆:ハル・クムラ
[最新更新日:2019年6月27日]