AIとシンギュラリティ

AI技術は現在様々な分野に活用されるようになり、私たちの生活はより便利なものになってきております。
仕事の面では、今まで大量の時間を割いていた業務をAIが担ってくれることで、よりクリエイティブな業務やコミュニケーションに時間を割けるようになりました。
ポジティブなニュースの多いAIですが、反面ネガティブな話題にもこと欠きません。

ネガティブな話題でポピュラーなものと言えば、「AIによってなくなる仕事」ではないでしょうか。
ビッグデータと機械学習の存在によって、AIの精度は日に日に向上しております。
今までは人間にしかできないと言われたような業務に関しても、ビッグデータの解析による精度の向上により、AIがさも人間であるかのように柔軟な対応を行うことが可能となりました。
人の行動や思考も突き詰めるとビッグデータですから、それらをAIが解析し、人に対して最適な提案までを行えるようになってきたのです。

こうなってくると、以前より叫ばれていた「AIによってなくなる仕事」というのもより現実性を帯びてきますね。
今までは計算や清掃などの単純業務を機械が取って代わるということでしたが、AI技術の向上は目覚ましく、数年前に想定された以上の仕事がもしかすると失われることになるのではないでしょうか。

こうしたAIの進化の先に、「シンギュラリティ」が想定されています。
シンギュラリティは「技術特異点」を意味し、人工知能の世界的権威であるレイ・カーツワイル博士により提唱されました。
人工知能が人間の知性を超越し、私たちの生活に大きな影響・変化を与えることを指しています。
少なくとも2045年までには人間と人工知能の能力が逆転する、というのがカーツワイル博士の見解です。

強いAIと弱いAI

さて、とはいっても実際にAIが自我を持って人間を支配するなど、今のAIの実情を見るになかなかイメージが沸きません。
だって、自動車の自動運転を行うAIや将棋のチャンピオンに勝利するAIが人間を支配するなんて考えられますか?
でも偉い学者さんが「シンギュラリティは起こる」と言っているのには、何か理由があるはずです。
そこには、AIの特性が関係しているのです。

私たちが普段触れているAI、たとえば先述したような自動車の運転サポートを行うAIや将棋の強いAIは「特化型AI」と呼ばれ、文字通り目的に対して「特化した性能」を与えられています。
言ってしまえば将棋AIは運転をサポートすることはできないし、自動運転のAIが将棋を行うこともできないのです。
様々なことに対応できるわけでない「特化型AI」は、一般的に「弱いAI」と呼ばれています。
では「強いAI」というのはどう言うものなのでしょうか。
ずばり、ドラえもんや鉄腕アトム、ターミネーターのような自律型のAIのことを指し、これを「汎用型AI」と呼びます。

汎用型AIの特徴は、蓄積された知識を元にその時々の状況を判断して動くことにあります。
また、学習も自律的に行うことができるので、人間が何かを学習させる必要がありません。
つまり自分で考え行動ができる、人間のような存在なのです。

さぁ、段々とわかってきましたね。
シンギュラリティで恐怖の対象とされているのは、汎用型AIに自我が芽生えるのではないか?というところにあるのです。
現代の世界を見てみても、私たちの生活はIT技術なしには成立し難いものになってきています。
IT技術の活用は、今後さらに加速していくことになるでしょう。