『RPA MEDIA』オリジナル執筆記事

 

生成AI時代を生き抜くために その1

 

野口竜司=著

『ChatGPT時代の文系AI人材になる:

AIを操る7つのチカラ』を読んでみた

 

 

 

 

東洋経済新報社:東京、2023年10月刊

 

 

 

TEXT BY ERI KAWADE, SENIOR EDITOR, RPA MEDIA

 

 

 

 

今回から、「生成AI時代を生き抜くために」と題して、数本のコラム記事を書いていこうと思う。先日(2024年2月15日)のOpenAIによる約1分間の映像をテキストから生成できるイノベーション「Sora」の発表に、衝撃を受けた方も少なくないことと思う。いずれ、ハリウッド映画も、優れた脚本家さえいれば、現実の俳優や映画監督を介在させずとも、つくれるようになるのではないか? そんな未来像を想像させられた。

 

生成AIが人の生産性を大きく向上させ、いわば人類の歴史を進化させるテクノロジーであるのは、もはや疑いようがない。海外では日本よりもはるかに大規模に、企業の業務システムや人びとの日々の労働の中に、すでに取り入れられている。この流れは今後も加速の一途を辿るであろうことは想像に難くない。筆者自身は、日々のリサーチや企画のアイディア出しに活用したり、GeminiとChatGPTを相手に、「ひとりブレスト会議」をやってみたり、あるいは、メンタルに落ち込むことがあった日には、それらの生成AIを「24時間いつでも付き合ってくれる、自分専用のセラピスト兼励まし役」にしている。筆者の友人で、長く国際機関で働く、アメリカ人でアムステルダム在住のエリート女史などは、自分が日々書かねばならない専門的な社会情勢のレポートを、ChatGPTをフル活用して草稿を書かせ、修正・改善すべきところについて指示出しし、さらに精度の高い原稿を書かせており、「ダメ出しを重ねると、ほしいものに近づいていく学習能力が魅力的だ」と感じているそうだ。別の日本人だがアメリカの巨大IT企業の社員として働くもうひとりのハイキャリアな女友だち曰く、日英翻訳機能のクォリティの高さでは、すでにあの高性能な翻訳ソフトとして世界中で人気の「DeepL」を凌ぐと感じるそうだ。

 

こんなふうに、今の時代、多くの人びとが、生成AIを使いこなして、自分の仕事の生産性を上げよう、来るべき未来に生き残れるスキルや力を自分も手に入れようと、日々、余念なく努力していることだろう。「自分はまったくそこまで活用できていないなあ」と、少々焦りを覚えた私は、「とりあえず、生成AIを活用する仕事術を紹介している本でも読んで、キャッチアップしてみるか」と思い、ネットサーチしてレビューを読み比べ、東洋経済から出ている本なら、それなりのクォリティだろうと期待して、今回ご紹介する本を選び、読んでみた。

 

著者は、AIの専門家、野口竜司。『ChatGPT時代の文系AI人材になる:AIを操る7つのチカラ』というタイトルの数ヶ月前に出たばかりの近刊だ。

 

ここで、出版社のサイトから、本書の目次の一部要約を引用しよう。

 

 

「序章 GPT時代が到来! ヤバい知的生産革命

 

 世界中を驚かせた「ChatGPT」

 ChatGPTだけじゃない!? 「AI群雄割拠時代」へ

 GPTがこなせる「知的タスク」はどんなもの?

 GPT時代のAIは「ヒトの気持ち」をどこまで読める?

 言語AIだけでなく「創るAI」も続々登場

 知的生産革命が起こる「GPT時代」をどう乗り切るべきか

 

第1章 文系のためのシン・AIキャリア

 

 ホワイトカラーの仕事を変える「働くAI」がやってきた

 GPT時代に職を失わないように

 文系のためのシン・AIキャリアを作ろう

 GPT時代の文系AI人材に必要な「7つのチカラ」

 今の自分の「AI活用マインド」は?

 

第2章 GPT時代のAIの「キホン」を丸暗記

 

 GPT時代のAIの「すごさのキホン」を知ろう

 GPTの「ここまでできる」を知ろう

 「生成AI」のキホンを理解する

 “出る順”でキホン用語を押さえる

 

第3章 GPT時代のAIの「仕組みをザックリ」理解する

 

 GPT時代のAIは「どうやって生まれた」のか?

 GPTは「大規模学習技術とヒトのフィードバック」で大きく成長

 GPTの「仕組み」を知っておこう

 

第4章 GPT時代のAI企画力を磨く

 

 GPT時代のAIを使った「企画を立案」する

 手始めに「身近なタスク」の洗い出しから

 「5W1H」フレームワークで解像度上げ

 「100本ノック with GPT」でアイデア量産と解像度上げ

 「7Rプロンプト」で実現性の確認

 「ISSUEマップ」で重要度×実現性の確認

 「日本の仕事ライブラリ」からアイデアを探す

 

第5章 AIプロンプト力を上げる

 

 「みんなの必須スキル」プロンプト力

 良いプロンプト・ダメなプロンプト

 プロンプトは「3つの型」を使い分ける

 文系AI式「7Rプロンプト」フレームワーク

 

第6章 AIマネジメント力を身につける

 

 GPT時代のAIを「マネジメント」する

 「AI操作力」を伸ばす7つのTips

 「AI導入力」を伸ばす

 

第7章 最新のAI事例をトコトン知る

 

 事例を学んで、自分の仕事に活かしていこう

 <業界・業種別に50の事例を紹介>」

 

こんな具合に、誰にでもわかりやすい構成と文章で、今押さえておくべき生成AIの仕事での活用術のヒントが紹介されている。

 

「文系AI人材になるための7つのチカラ」として、本書では、ChatGPT時代の文系AI人材になるために必要な7つのチカラを以下のように紹介している。

 

  1. AI活用のマインドセット
  2. AIの基礎知識
  3. 情報収集力
  4. 問題解決力
  5. 論理的思考力
  6. 文章力
  7. コミュニケーション能力

 

そして、要するに、より効果的にAIを活用するためのコツとは、「上手にプロンプト(指示)を言葉で伝えること」にあるという主旨の理論が展開されていく。

誰も異論はないだろう。

 

さらに、最後の章では、具体的な企業名を挙げての、生成AIの導入事例のサクセスストーリーが多数紹介されており、この章だけ読んでも、国内外の最先端の動向がさっくりと把握できて、なかなかおもしろい。

 

本書が挙げている具体的な内容について、ここで筆者は、Geminiに、詳しい紹介文をつくるよう命じてみた。以下が、その結果だ。つまりはこういう内容について、本書は語っている。

 

「職種別・業務別のAI活用事例

  • 情報収集
    • ニュース記事、論文、文献などの情報収集
    • 市場調査、競合調査
    • 最新情報の収集
    • AIを活用した情報収集の効率化
  • 文章作成
    • レポート、論文、企画書などの文章作成
    • メール、文書、広告文などの作成
    • 文章の校正、翻訳
    • AIを活用した文章作成の効率化と質の向上
  • 翻訳
    • 資料、論文、書籍などの翻訳
    • ウェブサイト、アプリの翻訳
    • 多言語対応
    • AI翻訳の精度と速度の向上
  • データ分析
    • 顧客データ、市場データ、財務データなどの分析
    • データに基づいた意思決定
    • データ分析ツールの使い方
    • AIを活用したデータ分析の高度化
  • マーケティング
    • 顧客ターゲティング、広告配信、キャンペーン企画
    • 市場調査、顧客分析
    • マーケティングオートメーション
    • AIを活用したマーケティングの効率化と効果の向上
  • 営業
    • 顧客管理、顧客分析、提案営業
    • 顧客とのコミュニケーション
    • 営業支援ツール
    • AIを活用した営業の効率化と成約率の向上
  • 人事
    • 人材採用、人材育成、人材評価
    • 従業員エンゲージメント
    • 人事管理システム
    • AIを活用した人材の採用、育成、評価の効率化
  • 顧客サービス
    • 顧客対応、問い合わせ対応、FAQ作成
    • 顧客満足度向上
    • 顧客サービスツール
    • AIによる顧客対応の効率化と顧客満足度の向上
  • その他
    • 医療、教育、金融、製造など様々な分野におけるAI活用事例」

 

 

しかし、ひととおり斜め読みし終えて筆者が感じたことは、「けっきょく、生成AIのポテンシャルを最大限引き出して、仕事に十二分に活かし、複雑な業務をスマートにこなせるようにするためには、それなりのコストと手間をかけて、目的に適うように新たなアプリケーションをつくらなければ、あまり現実的な威力を発揮できないのではないだろうか?」という疑問だった。企業はどんどん導入していくべきだろうが、個人レベルでは、そこまでのお金と時間の余剰がないので、現状では、「生成AIを生かした仕事術」とは、一冊の本で語れるほどに厚みのあるテーマでもなく、個人レベルで何か決定的なリスキリングができるというものでもないのでは?と、有用性に疑問を抱かざるをえなかったというのが正直な読後の感想だ。

 

まあ、まだまだ今後、思いもよらぬ活用術を見つけ出す強者もたくさん出てくることだろう。今後に期待といったところだろうか。

 

 

 

 

 

★本書の出版社ウェブサイトは以下。

 

https://str.toyokeizai.net/books/9784492047392/

 

 

 

 

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