業務改革後の変化

大森:RPA導入後の社員の方の反応、業務の変化についてはいかがでしょうか?
安西:明らかに残業が減る、などは目に見えて良くなっていますので「楽になった」という人もいる一方で、(給与計算以外のロボットも稼働していますが)やはりどうしても、最初は人によって「新しいやり方に慣れない」「仕事が奪われる」というネガティブな意見もあるようで、反応は様々です。(導入して1年以上経過した今は徐々に減りつつありますが)ただ、やはり残業は自然な状態ではありませんので、RPA化できる単純作業から解放するのは大事なことです。
導入後、本来自分がやるべき仕事、やりたい仕事をちゃんと上司があてがってあげられると、不満は出ないと考えています。それができないと、ただ暇になってしまう……あまりプラスには働かないですよね。
「業務改革後の余った時間をどう使うか」は部署の所属長や事業上の管理者、今後の改革推進部の課題です。
大森:改革推進部ではどんな形が理想なのでしょうか?
安西:それについては、下記の図3をご覧ください。

安西:そもそも、 BPRにより効率化され創出された時間に対し、部署として本来やるべきだが出来ていない業務を担ってもらうのが理想ですが、その業務(本来やるべき)が明確になっていない場合が多いのです。
その結果一般的にRPA、BPRによって削減した時間は、残りの既存業務をより丁寧にやる、
になってしまいがちなんです。ただ暇な時間が増えるのでは、あまり意味がありません。

大森:無駄に仕事を作り出してしまっても本末転倒な訳ですから、難しそうですね……。
安西:ではどうするか、というときに図3のような「リソースシフト」を実現して行きたいと考えているんです。
要は、9人分で行っていた業務がRPA、BPRした際、2人分の工数が削減された場合、そのままの体制では先程申し上げた通り既存業務が膨れてしまう。そのためには体制そのものを見直し、2人減の7人での新しい体制で効率化された業務を行っていく必要があります。(図の例では2グループを2グループに再編成している)これが、部署の中でできない場合は部と部をまたいで一緒になり、組織再編をしていかないと本当の効果は出てこない。
効率化された業務以外のものに注力していくためには、組織体を変えていかなければならないですし、これが大切で、かつ難しいことでもあります。
これができるかできないかがRPAを導入して成果が出ている企業と、出ていない企業の分かれ目と、私達は考えています。そのためにBPRは、組織を考える経営戦略部門、人事を考える人事部門との連携を密にしています。
大森:実際に統合された部署は、すでにあるのでしょうか?
安西:RPA、BPRの効果がで始めたのが去年の冬から今年(2020年)に入ってからなので、サッポログループ自体の移動時期である夏から、こういった体制を取り入れられていくかも、という風になっています。

後編へ続く…!!
⇒後編は8月28日(金)7時公開予定
参考:サッポロビール
給与計算業務「88%削減」に成功!サッポロHD人事部の劇的ビフォーアフター