国内最大級の総合物流企業、日本通運

近年、EC市場の拡大を追い風に需要が高まる物流業界でも、業務自動化の流れが進んでいます。

日本通運では2018年からRPAを導入し、これまで151万9000時間の業務時間削減に成功したそう。(日数に換算するとなんと約6万3291日!)

そこで、社内でのRPA浸透方法や成功事例、理想のDX像について、日本通運株式会社 IT推進部 井上さん(以下、敬称略)にお話を伺いました。

全2回でお届けしている今回のインタビュー記事、後編です!

はじめは社内でのRPA認知度はかなり低かったのだとか…

そこで行われた施策とは…!?

また、RPAが力を発揮した業務とは…!?

DXを推進する想いもお聞きしました。

是非最後までご覧ください!

 

▼前編【日本通運、RPAで151万時間削減!大きな削減効果を生んだ方法】

日本通運、RPAで151万時間削減!大きな削減効果を生んだ方法

 

目次

 

 

• RPAに関するe−ラーニングを実施したそうですが、社内でうまくRPAが浸透したのはこれによる効果が大きいのでしょうか?

井上:そうですね。e−ラーニンングは事務系社員18000人と役員含め受講メンバーを選定し、実施率が97.8%となりました。

そこでRPAはどういう処理ができるのか、RPAが得意なことや苦手なこと、事例の紹介、展開の方針、ロボットが止まった時の対応方法、ロボットを利用する上での注意などをまとめました。

なぜe−ラーニングを行ったかというと、当時はRPAに何ができて何ができないかという境目さえ認知されていなかったからです。

社内でRPAを導入したい業務を募集したところ1次では75件、2次では234件来ました。1次から2次で3倍以上増えたのですが、過半数がRPAでは対応できない内容でした。

まずはRPAについて分かってもらわなきゃダメだと思い、e−ラーニングを事務系社員に受けてもらいました。その後は質の高い申請内容が増えていきましたね。

 

 

• RPAを導入してうまくいった事例はありますか?

井上:※1先ほども言ったように現在151万9000時間の削減に成功しているのですが、そのうち20数万時間は財務・経理部の業務です。

もともと全国の支店で経理業務を行っていたのですが、特に時間のかかる業務は事務センターに集約し経理業務を行う、という流れがRPAプロジェクト開始前からありました。

そこに目をつけ、事務センターにRPAを入れたら支店の業務をさらに巻き取れると考えました。

支店ごとにRPAを入れるよりも、事務センター1箇所に入れた方が運用ルールも統一しやすく、支店側から見ると業務は丸ごと無くなるのでその分削減効果は大きくなります。

我々は※2横展開型と、集約型2つの進め方をしていますが、集約型の事例として経理関連の自動化が一番力を発揮したと感じます。

やはり経理は定型業務が多くRPAと親和性があるというのは、他の企業さんもおっしゃられているかなと思います。

※1 詳しくは前編「目標達成のために立てた戦略/生まれた削減効果」参照

※2 横展開型:全国的に同じように行っている業務を選定しコピーロボットを増殖、運用ルールやフォーマットを統一化して展開していく方法。

 

横展開型イメージ

 

 

•今まで担当していた業務が自動化した場合、社員はどうなるのですか?

井上:仕事がなくなったから担当セクションの人を切る、ということはしていないです。

総合職はゼネラリスト型と言って、専門的に何かやるというより色々なことを担当している人が多いです。

ロボットが定型業務を行い、余裕時間を創出することで、本来人間がやるべき営業活動、マーケティング、企画、分析業務に注力する意味合いの方が強いです。

なので、人員は削減せず、必要な業務に注力してもらったり、時間外労働を減らすといった効果を狙っています。

 

 

•RPA導入後、賛成や反対の意見は届きますか?

井上:賛否両論ありますね。

何か意見をいただいた時に我々がどう反応するかが大切だと思います。

「もっとこうしてほしい」などのご指摘をいただいたときは、現場の人とのコミュニケーションを経て、最終的に意見を受け入れるかどうか判断をしています。

現場の意見を汲み取り具現化するやり方もあるし、この後の保守を考えたとき、これに手を出すと他が回らなくなると判断すれば止めるでしょう。

軸となるのは開発することだけではなく、その後2年、3年と保守していけるかという点も判断材料として、やるかやらないかを決めていきます。

 

 

•井上さんの過去のインタビュー記事で「RPAによって会社のマインドを変えることを目指したい」と書いてあったのですが手応えはありますか?

井上:自分のイメージとは程遠いです。自分の中ですごくジレンマを感じています。もっと劇的に変えていきたいです。

RPAは業務の流れを変えずに、システムの煩雑な部分を補う要素が強いです。

例えば、手首にできた傷に絆創膏を貼る、と言うように応急処置をしているイメージです。

私がやりたいのは、もっと身体全体をパンプアップさせるとか、抜本的に業務プロセスごと変えていくことです。

RPAなど先端技術を使い仕組みを変え、より多くの人がハッピーになる、というのが私の目指す事務DXの理想像に近いと思います。

今はRPAとAI-OCR中心にチャレンジしているのですが、先端技術を組み合わせて、今まではお断りしていた業務の自動化を実現していきたいです。

自動化領域を広げていくことが今一番やりたいことで、その先で業務プロセスごと変え、会社のマインドや文化も変えて行きたいです。

 

 

• RPA導入を考えている会社にメッセージをお願いいたします。

井上:私はそんな立場でもないですし、他の企業様に向けてなんておこがましいのですが…

ただ一つ申し上げるとすれば、「健康と安全が一番大事」ということです。

これまで繰り返しの単純作業が多く存在し、その結果、事務職の長時間労働につながってしまっていました。

また、それにより、体調やメンタルを崩してしまう方もいましたので、単純作業をロボットに置き換えることで、そういう方を一人でも救いたい、生み出したくないという想いが個人的にありました。

うちのプロジェクト内では「健康と安全が一番大事」「仕事よりプライベートが大事」というルールがあります。事務を助ける担い手が健康と安全を害していたらダメだろうという話です。

仕事よりプライベートを優先するというわけではなく、「プライベートが充実してない人は、仕事でいいパフォーマンスできませんよ」ということです。

今は働き方が多様化していて、お子さんを保育園に預けに行かなきゃいけない、親御さんを介護しなきゃいけないという方もいます。

そういう時は「仕事は他の人がやるから、健康と安全が不安な時は必ず私に言ってください。そのためのチームなので。」と、伝えています。

無理に仕事をして身体を害するのは一番あってはならないことです。

RPA以前に働き方の話なのですが私からあえて申し上げるとすれば、皆さん健康にお気をつけください、ということです。

 

 

RPAの有効活用には、社員のRPAへの理解度が重要となってきます。

しかし最初は「RPAって何だろう…」という方がほとんどなのではないでしょうか。

RPAへの理解を深めることは多くの会社がぶつかる壁になると思いますが、日本通運はe−ラーニングで乗り越えたのですね。

また、最後のメッセージは心に沁みました…

ロボットに任せることができる業務はロボットの力を借りて、健康と安全第一で健やかに働ける環境が増えることを願います…!

 

全2回に分けてお届けした今回のインタビュー記事、最後までご覧いただきありがとうございました。

そしてなにより、インタビューに応じてくださった 日本通運 井上さん、貴重なお話ありがとうございました!

 

 

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